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この度弊社が実施しました社屋壁面へのソーラーパネル垂直敷設について、その概要をご紹介いたします。

計画の経緯

以前から、当社社屋の南と西の壁面への日当たりの良さの有効利用を思案する中、築35年を超える社屋外壁の広範囲にわたる経年劣化による補修の必要性が生じたため、2018年6月に今計画を開始しました。

単に老朽化に伴う外壁補修の工事だけに留まらず、晴天時に照り付ける太陽光の有効活用を目指し、また、ソーラーパネルを近未来的な意匠の外壁材として用いること自体が、当社の事業理念の表現に役立つものと考えました。

社屋外観

自社施工の選択

しかしながら、当初、太陽光発電を手掛ける既存の工事業者やソーラーパネルのメーカー等に対し、壁面への垂直敷設工事についての問い合わせを試みたところ、「施工例が少なく、万が一の際の保証ができない」等の理由から、どこの業者にも取り合ってもらえない状況が長く続き、着工までに半年以上の時間を要しました。

そこで当社は、既存建築物へのソーラーパネル垂直敷設に関する関係法令等について、盛岡市建築指導課に問い合わせ、違法性等がないことを確認したうえで当社自らによる敷設工事を決断するに至りました。

その後、宮崎県において野立てのソーラーパネル敷設に多くの実績を持つ企業や、岐阜県の取り付け用レールの加工会社様等々に指導を仰ぎ、また、本来の外壁改修工事を担う業者に対し、強度向上のため躯体(本柱)に直接下地鋼材の溶接を依頼し、当社の社員により取り付け用レールを取り付け、最終的にパネル敷設工事および系統別結線を行いました。

垂直敷設のメリットとデメリット

市街地における一般的な太陽光発電は、建築物の屋根や屋上に、地域の緯度に合った角度で設置しますが、降雪地域では雪下ろし等のメンテナンスが重要です。

一方、今回のような壁面への垂直敷設の場合、理論的には発電能力が40%程度低下するようですが、少なくとも雪下ろし等の危険を伴う保守作業の必要はありません。

また、仕上げられた外壁材から約120ミリ外側にソーラーパネルを張り付けることが、建物自体の断熱材の役割を果たし、また、直射日光による夏季の建物内温度上昇の防止や、冬季の保温に有効であると考えられます。

現時点で、一般的な太陽光発電と壁面垂直敷設との、発電事業としての厳密な収支の比較は困難ですが、発電効率の低さを補って余りある、多岐にわたるメリットがあるものと思っています。

<屋根に敷設した場合のデメリット>

  1. 盛岡のような降雪地域では、積雪で発電が不能になる。
  2. 鳥の糞等の汚れで発電能力が低下する。
  3. 上記の保守作業のために、屋根に登る等の危険をともなう。
  4. 設置個所からの雨漏りの例が多い。

<壁面敷設のデメリット>

  1. 協力的で経験豊富なメーカーや工事業者が皆無に近い。
  2. 工事には堅固な仮設足場が不可欠で費用がかさむ。
  3. 太陽光の照射角度を最大値まで合わせられないので、発電効率が40%程度低下する。

以上のような功罪に鑑み、これは単なる太陽光発電事業ではなく、当社の考えを現した壁面広告のようなものとして、かつまた、晴れた日には“オマケ”で発電ができる外壁という認識を持ち、今後も種々のデータ収集を行い、必要に応じ適時公開していきたいと考えています。

活用範囲を広げるV2H新システム

本年(令和元年)5月に新発売の、ニチコン(株)社製日産リーフ用V2Hシステムパワーステーションは、ソーラーパネルで発電した電力を家庭や事業所等へ給電しながら、余剰電力を並行して車載バッテリーへ充電し、また、停電時には独立運転による給電が可能なので、災害発生時においても多様な活用法が充分見込めます。

もちろん法律面での確認が必要ですが、上記電力の、例えば当社工場で使用されているバッテリーフォークリフトや製造機械等への給電の可能性の検証も行い、その利用範囲の拡大に努めて行きたいと考えています。

再生可能エネルギー利用のこれから

世界的な広を見せる“RE100”運動は、新たな商品や企業価値を生み出す動きとして、例えば「何から作られたエネルギーを使っているのか」等も評価の対象になる時代がすでに到来していると言えます。

当社は、太陽光発電で蓄電した電力でリンゴを搾り、「太陽光搾りりんごジュース」や「再生可能エネルギーで作ったサプリ」の開発を推し進めたいと考えています。

現行の電気事業制度上、乗り越えなければならない様々な課題は有りますが、バイオマスエネルギーの製造工程への導入等を含め、それぞれの場面に最適な再生可能エネルギー使用の積み重ねによる“RE100”の実現に向け、一つ一つ努力することを目指しています。

市街地型太陽光発電の可能性

仮に各地方都市の建築物等において、日照条件の良い壁面の1%で今回のような垂直敷設発電をした場合、得られる電力は膨大なものになり得ると容易に推考できます。

もちろん、地域の晴天率や日照時間による昼夜の発電量の偏りは避けることはできませんが、ある程度の初期費用の負担で、これまで活用されていなかった太陽光を、あまり手間をかけずに有効利用することが可能であると考えられます。

費用対効果については今後の実証試験の中での分析を待ちますが、近年多発する自然災害の発生時における非常用電源の確保は、投資効率には反映できない大きな安心材料になりえるものと確信しています。

社屋新意匠に対する周囲からの反響

本来の目的であった外壁改修工事とソーラーパネル敷設工事それぞれの工程管理の難しさから、半年以上の長期間にわたり設置されていた仮囲いを撤去すると、通行する皆さんが一応に当社の壁面を見上げるようになり、中には「とても先進的な取り組みですね」などと声を掛けて下さる方もいます。

もちろん、本計画の全容を理解した上でのコメントではないと思いますが、壁面に多数のソーラーパネルを張り付けた意匠から十分計画の方向性を理解なさった上での感想であると容易に想像ができます。

本事業がニュースに取り上げられました(岩手めんこいテレビ「mitプライムニュース」)